〜 自然現象から音楽を学ぶ 〜
1.背 景
歳を重ねて日々に学ぶ、そんな気持ちでクラシック音楽に触れてみたくなって70歳からの手習いでハーモニカをはじめた。
どんなものか、プロ奏者たちの演奏を聴いていると、
複音ハーモニカ特有のベース音やXX奏法など、いろんな技が複雑に入り込み、楽曲本来のメロディが素直に伝わってこない。
あの名曲がこんな風になるのか、と思うことも度々。
そんなことから興味が薄れてきた或る時、インターネットですばらしいハーモニカ演奏(ドボルザークの”家路”)に出会った。
奏者は不明だが、美しく澄んだ音色、それに楽曲本来のメロディが素直に伝わってくる、これまでに聴いたことのない豊かな演奏に感動し、これだ!、と飛びついた。
これができるならハーモニカを続ける価値があると期待して、早速その奏者の音色と奏法に近づけるよう見よう見まねで練習した。
過去に教わったハーモニカの吹き方を捨て、トランペット奏者から聞いた理に適った吹き方を真似するなどして、少しは成果が見られるようになると音楽への興味も増してくる。
ある著名な指揮者の本を読んだとき、共感を覚える数々の言葉に魅せられ、
それ以来、音楽家が語る言葉や書物から音楽の深みを知ることになり、それが音楽を学ぶ動機になった。
普段の会話で当たり前のように飛び交う言葉の中にも解らないことが沢山ある。音階ができた背景は?、美しい音色とは?、音色を決める倍音の正体は?、ハーモニーの正体は?、
楽しい/悲しい響きとは?、楽曲の仕組みは?、等々、関心ごとは沢山あり、これらを自然現象の中から学ぼうとした。
人は、本能のままに音楽との繋がりを築いてきた。ならば音楽は人為的に考えられた約束事ではなく、自然現象の中から生まれた事象だろうと推察できる。
たとえば、5度の調和、倍音列の響き、差音のハーモニー、規則的リズムの中の不規則な揺らぎ、など、音楽の原点が自然法則の中にある。
その自然法則というのは実に合理的に出来ており、足し算より引き算の美意識の方が合理性に叶う。
そう考えると、音楽ありきで総花的に学ぶより、身近な自然現象の中から音楽を学んだ方が、理解が深まることを実感した。
そこで、これまで断片的に得た音楽の知識を、復習と整理を兼ねて備忘録のつもりで纏めてみました。
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