![]() (卓上の音楽) |
音楽の原点を探る |
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![]() 普段の会話で当たり前のように飛び交う言葉の中にも解らないことが沢山ある。音階ができた背景は?、美しい音色とは?、音色を決める倍音の正体は?、ハーモニーの正体は?、 楽しい/悲しい響きとは?、楽曲の仕組みは?、等々、関心ごとは沢山あり、これらを自然現象の中から学ぼうとした。 人は、本能のままに音楽との繋がりを築いてきた。ならば音楽は人為的に考えられた約束事ではなく、自然現象の中から生まれた事象だろうと推察できる。 たとえば、5度の調和、倍音列の響き、差音のハーモニー、規則的リズムの中の不規則な揺らぎ、など、音楽の原点が自然法則の中にある。 その自然法則というのは実に合理的に出来ており、足し算より引き算の美意識の方が合理性に叶う。 そう考えると、音楽ありきで総花的に学ぶより、身近な自然現象の中から音楽を学んだ方が、理解が深まることを実感した。 そこで、これまで断片的に得た音楽の知識を、復習と整理を兼ねて備忘録のつもりで纏めてみました。 ![]() ![]() ![]() ![]() 歴史の出発点に辿り着いてみれば、音楽の理屈がこんなに簡単だったのか。 それまでは、音階の成り立ちすら知らず、考えたこともなかったが、理解してみると楽譜の見方にも幅が広がった感があります。 昔、今から2,500年も前、ギリシャの哲学者で数学者でもあったピタゴラス(紀元前582〜497年)が日常の音を科学的に解明し、 音程は振動数の比で表されることを発見した。 この発見には幾つかの逸話があるが、その中で鍛冶屋さんの例が解りやすい。 ある日、鍛冶屋さんの前を通りかかったとき、数人の職人さんが金槌を振るって鉄打つ音を聞いているうちに、おゃ!、と思ったことがある。 金槌で鉄を打つ音の中には、幾つかの音が重なったとき、心地よく響く場合と、そうでない場合があることに気付いた。これが音の調和の発見です。 金槌を調べると、重さの比が「3:2」のときに鳴る音がよく調和することに気づいた。 更に、重さが2:1のとき、4:3のときもよく調和することに気づいた。 ![]() 金槌の代わりに、演奏会でよく見かける楽器トライアングルでみるともっと分かりやすい。 これは金属の棒を、三角形に曲げた形状の楽器で、図のように3個のトライアングル(A)(B)(C)を用意し、(B)は一辺の長さが(A)の3分の2、(C)は(B)の3分の2とします。 このうち、2つを同時に鳴らしたとき(A)と(B)、(B)と(C)の音はよく調和し、(A)と(C)は調和しないことが解りました。 次の5章で解ることですが、ここで(A)がド音なら(B)はソ音、(B)がソ音なら(C)はレ音が鳴るはずです。 つまり、一辺の長さが短くなれば高い音になるので、(A)でドが鳴れば、(B)の周波数は(A)の3/2倍でソ音、 (C)は(B)の3/2倍のレ音、すなわち(A)の9/4=2X(9/8)=1オクターブ上の9/8倍のレ音になる。 この事実を基に、音階の存在を突き止めていくことになるが、実験を容易にするため、ピタゴラスは金槌の代わりに弦の長さの比に置き換えて、より詳しい音階の確立へと発展させていきました。 では、なぜ(A)がド音なら、辺の長さが2/3の(B)がソ音、さらに(C)がレ音になるのか、この時点ではまだ答えられません。 5章で実際にピタゴラス音律を作ってみると理解できます。 (a) ピタゴラスの実験 : 調和する音と弦の長さの比の関係を探る ![]() @長さ1の弦の基音をド(C)にすれば、A長さ3/4の弦の音はファ(F)の音、B長さ2/3の弦の音はソ(G)、 C長さが半分の弦の音は1オクターブ高いド(C’)になり、 夫々の音は、基音C(ド)とよく調和することが解ったのです。 ここでは弦の長さに対する音階の一例を挙げただけですが、「ドレミファソラシド」のできる過程を5章のピタゴラス音律で詳しく説明します。 上図で基音の弦の長さ@を12等分したのは、弦の長さ3:2、および、4:3の音は基音に対してよく調和することを前提にすると、 1オクターブに12(=3x4)個の音の組み合わせが存在するからです。 ここで、基音の周波数1に対し、2倍の音を完全8度、3/2倍の音を完全5度、4/3倍の音を完全4度(7章)と呼んでおり、 いずれも基音に対してよく調和する音であることをピタゴラスが発見したのです。 この時代にオクターブ、完全5度、云々という言葉が使われていたか分かりませんが、 自然現象として、周波数が2倍になると同じ音が1オクターブ高くなったように聴こえます。これは何故でしょう。 (b) なぜ「オクターブ」という単位があるか? 11章の共振・共鳴でも出てきますが、先ずは下の図を見てください。 1本の弦を張り(1)、その弦をはじいて振動させると、その波は両端に向かって進む(a)が、 弦の両端が固定されているので、端に到達した波は反射して逆向きに進みます(b)。 ![]() ここでは説明の都合上、波の振幅は同じ大きさで描いているが、 実際には、振動数に反比例して振幅は小さくなるので、振動数が高くなると振幅は次第に減衰(※)します。 次に、弦に振動を与えたときに発生する波の共振・共鳴の関係を考えてみます。 図を縦方向に見ると、弦の基本波の腹(振幅が最大)のところで2倍波(2)と4倍波(4)が節になり、3倍波は腹になっている。 これは、2倍、4倍波が基本波に共振しやすい状態にあることを示しています。 同様に、2倍波の腹のところで4倍波が節になり、3倍波は半端な位置に居ます。 ここがポイントで、基本波と2倍波は互いに共振、2倍波と4倍波は互いに共振します。 この関係を一般論で言うと、2のn乗倍の波(n=0,1,2,3,・・・)は互いに自然な共振関係にあります。この関係がオクターブの単位です。 (※) 上記で振動数が高くなると振幅は次第に減衰すると言ったのは自然音のことです。 これが共鳴箱で、ある倍音が他の周波数と共鳴すると、その倍音は逆に強くなることもあります。 ![]() 弦の振動の話は、音の周波数に置き換えても同じことです。 いま、基本波の周波数(基音)を「ド」にしたとき、その2倍音も「ド」と同じように聴こえるのは、何故か。 これらの音が似ていると感じるのは、上図で(1)と(2)、(2)と(4)の波形が共振関係にあって、音が互いに最もよく調和しているから、聴覚が錯覚するのだと思います。 このことは、12章で扱う差音からも説明できます。 差音とは2つの音が同時に鳴るとき、高い周波数から低い周波数を引いた周波数の音のことですから、たとえば、基本波と2倍波の間では基本波と同じ周波数の差音(2倍音−1倍音=1倍音)が発生するので、基本波と2倍波は同音と錯覚するのだろうと思われます。 結局のところ、2倍、4倍、8倍、のように、2のn乗の音ごとに、基音の「ド」と同じように聴こえる音に出会うので、 この間隔を「オクターブ」という単位で表わしたのだろうと考えます。 聴覚が、音程を周波数比で認識することを突き止めたピタゴラスは、この「オクターブ」という単位内で、互いに調和する音を積み上げて12音階を作り上げました。 では、どのようにして12音階を作ったかを次章で説明します。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |