何の予兆もなくある日突然に心筋梗塞に襲われました。 それは古希を迎える2週間前のことで、
今から2年前の10月14日(土)の午前9時半のことでした。 薄っすら紅葉がかった庭木を眺めながら、
今日も元気でタバコが旨い、といった感じで吸い終えて立ち上がった直後でした。
急に胸が苦しくなり、痛むというより胸を絞めつけられるような重苦しさでした。
同時に立ちくらみのひどいやつという感じで目の前が二重三重に見えたかと思えば、
辺りが真っ暗になり思わずしゃがんでしまった。
しかしその間は僅かでおそらく20〜30秒間くらいだっただろうか、それを過ぎたらすっかり元に戻ったような気がした。
ところが気が付いてみると汗びっしょりの状態、頭から、首から、顔から、まさに滝のように汗が流れ落ちてるではないか、
その様子を見てただ事ではないと察した家内がすぐ救急車を呼んでくれました。 とにかく頭から流れ落ちる汗を思い出し、
まさか脳梗塞ではないか、いや胸が重苦しいから心筋梗塞ではないか、など想像だけが脳裏を駆け廻ったが、
暫くして救急車が到着したときは何事も無かったかのように治まっており胸の重苦しさだけは何となく残っている程度でした。
一般に心筋梗塞の発作があると直ぐに心不全の状態になって呼吸困難や意識が薄れたり、
苦しくて自分の症状を話せなくなってしまう場合があるそうですが、私の場合はそこまではいかなかった。
これだったら自分で病院へ行ける、救急車で搬送されては申しわけない気がしていましたが、これは無知が故の発想であった。
起き上がろうとしたら動かないでください、と言いながら駆けつけてくれた救急隊員の対応は素早く、
救急病院へ向かう途中も、病院と連絡を取り症状のポイントを詳しくに伝えておられた。
病院までは乗用車でも8分程度の距離だから救急車なら5分程度で着いたのではないだろうか。
病院では既に担当医他看護師さん数名は待機していてくれました。
応急検査の結果、病名は急性心筋梗塞と断定、時間の経過と共に心筋細胞が徐々に死滅していくわけだから迷う余裕はない、
即手術の同意を求められた。 救急ベッドに寝かされたままであったが、
その時は既に手術台に乗せられていたのではないかと思う。 上向きの状態で同意書にサインしたことを思い出します。
カテーテル手術について、先生が家内に説明している話し声が聞こえる、必ずしも成功するとは限らないらしい、
何やら話声の中に五分五分という声が聞こえてくる。
そういう状況になると意外と度胸が据わるもの、何を考える訳でもなく落ち着いた気分で手術台に横たわっていたものです。
手術開始は10時5分ころだったので、心筋梗塞発症から30分後には手術台に乗っていたことになり、
これだけ早急に手術ができるのはかなり幸運が重なっての結果だろうと想像しました。
しかもこの病院、心臓病では全国的にも名の知れた著名な病院である、落ち着いていられたのもそのためだったでしょう。
カテーテル手術なるものは以前にテレビで見たことがある、その時は外科医学の進歩の凄さに見入っていたが、
今その手術を自分が受けるとは想像もしないことでした。
手術の内容は、私の場合は右手首の動脈からカテーテルという細い管を血管内に挿入し、
TVモニターで確認しながら心臓入口の冠状動脈まで送り込んでいく、
要するに血管の詰まっている箇所を掃除することである。
そのカテーテルを挿入する手首だけの局部麻酔のため意識はハッキリしている。
手術台には上向きで寝たままの状態、いつまでたっても手術らしい様子が伝わらなかったので、
先生に今何しているんですか聞いてしまった。
カテーテルが心臓まで届いておりもうじき血液が正常に流れるようになるよ、
との答えが返ってきたときは急に元気が出てきました。
そうなんだ、血管の中は神経が通っていないから痛くも痒くもないんだ。
手術中の先生の邪魔をしてはいけないが医学の進歩の凄さを話し掛けてしまった。
ときどき体内がカーッと熱くなるが血管を鮮明に映し出すために造影剤を注入したときだそうで、
このときは眼の辺りまでポーッと熱くなる。 私の場合は1本の冠動脈入口のところに血栓が詰まっていたそうで、
それを除去すると血流が元に戻り、同時に胸の重苦しさはウソのように消え去りました。
詰まっていた血栓の大部分は回収できるが細かいのはどこかへ飛んで行ったそうです。
最後に狭窄していた血管を広げてるためステントと呼ばれる合金のメッシュが埋め込まれて手術は無事終了。
その間、1時間弱であったと思う。
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[ 2008-12-23 ]