◇ 鍾乳洞めぐり


鍾乳洞めぐり

 石垣島に旅行したとき、この近くに鍾乳洞があるから行ってみるといいよ、と現地の人が教えてくれたので立ち寄ってみて驚いた。 まるで異次元の空間で、お伽の国へでも迷い込んだような、或いは古代にタイムスリップしたような不思議な感覚になり、幻想的なシーンを観て感動の連続でした。 その鍾乳洞の生い立ちを、中生代末の白亜紀あるいはその前まで遡って探ってみると一層興味が湧いてきます。  [ ・・・ 地質年表から知る身近な石灰岩の山々
数万・数十万年の単位で自然が創り出した造形物の美しさをもつ鍾乳石、その多彩な形状の生い立ちにすっかり魅せられました。 それ以来、鍾乳石を観る目も変わり、比較的安全そうな鍾乳洞を観光するようになり、鍾乳洞に併せて周辺を観光するという旅行パターンが続いています。 このページはそれら鍾乳洞巡りの特集です。

 いろんな鍾乳洞を訪れた中で、洞窟が何層にも重なる竪穴でつながっている鍾乳洞は、健脚で探検心がないと難しい。 たとえば、岩手の龍泉洞では一般コースを鑑賞するだけなら平坦で歩きやすいが、高低差の激しい三原山コースに進むと、なかなか大変。 一人やっと通れる狭い螺旋階段を下りるときなどは、引き返すことも出来ず、しかも周りに誰も人が居ないと何処へ辿り着くかと、かなり不安になる。 岡山にある井倉洞は完全に竪穴洞。高梁川沿いにそそり立つ石灰岩の山、直立240m絶壁の壁面に入口があり、全コースを回るには高低差90m、階段数で云うと上り496段、下り337段になり、しかも狭い空間を歩くことになるから相当健脚でないと難しい。 鍾乳石を鑑賞しながら遊歩道を歩く感じではない。はぁはぁ喘ぎながら前へ進むだけという印象だった。階段数の多さでは高知の龍河洞も上り下り合計783段あるという。 その他、洞内は比較的平坦でも、そこへ辿り着くまでに急な坂道を登り降りする鍾乳洞、たとえば岡山の備中鐘乳穴・満奇洞、福岡の千仏鍾乳洞などがある。 等々、歳を重ねるにしたがって訪れるのが難しくなってきた。

◇ 鍾乳洞の形成と鍾乳石の種類
  悠久の時が創った大自然のアート、それが鍾乳洞。
石灰洞とも云われるように、酸性水に溶けやすい石灰岩の台地で成長します。 石灰岩台地に降った弱酸性の雨水が石灰岩の割れ目や弱い部分を溶かして地底に流れ込むと、地下でも石灰岩を溶かした水が流し出していくため空洞ができます。 すると空洞の出来た洞窟では、石灰分を含む水滴が天井から落ち徐々に結晶化する、これが数万年単位という長い年月を経て現在の観光洞に至ったものと推測できます。
〜〜〜 以下は、これまでに訪れた鍾乳洞の紹介です。〜〜〜
 石垣島鍾乳洞  玉泉洞(沖縄)  ガンガラーの谷(沖縄)  普天満宮洞穴(沖縄)  あぶくま洞(福島)
 龍泉洞(岩手)  安家洞(岩手)  備中鐘乳穴(岡山)  満奇洞(岡山)  白雲洞(広島)
 井倉洞(岡山)  秋芳洞(山口)  景清洞(山口)  竜ヶ岩洞(静岡)  幽玄洞(岩手)
 風連鍾乳洞(大分)  稲積水中鍾乳洞(大分)  小平鍾乳洞(群馬)  関が原(岐阜)
  健脚で体力に自信があれば訪れてみたい鍾乳洞は他にもある。奥多摩の日原(にっぱら)鍾乳洞、熊本の球泉洞、
   群馬の不二洞、高知の龍河洞、北九州の千仏鍾乳洞、岐阜の大滝鍾乳洞、など

◇ 石垣島鍾乳洞   (2014年03月14日)
 石垣島鍾乳洞は、かつて海底に存在していたサンゴ礁が地殻変動などによって隆起して誕生した日本最南端の観光鍾乳洞で、 鍾乳石の成長が早い鍾乳洞だそうです。 それは亜熱帯気候で雨が多く、隆起サンゴ礁で石灰岩の密度が粗く雨水に溶けやすいためだそうです。
 ここを見ただけで石垣島に来て本当に良かったと思いました。 現在は660mほどが公開されており、サンゴ礁から生まれた美しい鍾乳洞です。 とにかく鍾乳石の密集度が高く、サンゴ礁からできた石灰岩が溶け出して出来た変化に富んだ形、まるでお伽の国へ来たようでした。
八重山諸島を旅行したときは、ぜひ立ち寄ってみたいところです。

◇ 玉泉洞(沖縄)
 沖縄旅行の必見場所として選んだ玉泉洞は、珊瑚を主成分とした琉球石灰岩できており、 熱帯・亜熱帯地方の気候は多量の雨水が大量に流れ込む環境から鍾乳石の成長が早く、3年に1mmというスピードで成長しているそうです。 洞内の鍾乳石の種類は全国でも一番多いといわれ、37種類もの鍾乳石があり、 一般公開の全長890メートルの中に、なんと100万本の鍾乳石が存在しているそうです。 つららのような鍾乳石だけでなく無数の大石筍が林立する大広間も圧巻です。
玉泉洞を一巡して外に出るとそこは琉球王国城下町(旧民家群)で、明治時代の住宅遺産や精霊宿るガジュマルの木々を見ることができます。

◇「ガンガラーの谷」の天然鍾乳洞(沖縄)
 玉泉洞の隣に位置し、「ガンガラーの谷」の入口にあるケイブカフェ(Cave Cafe)は天然鍾乳洞をそのまま使ったオープンカフェです。 ここでコーヒーなど戴きながら眺める空間は、幻想的で厳かな雰囲気を漂わせているように感じます。 ★★★ 宮城島の穴場絶景スポットに「果報バンタ」があり、そこに箱庭のように小さく可愛らしい鍾乳洞があります。 気がつかなければ単なる洞穴ですが、よく見ると小さくても立派な鍾乳洞でした。★★★

◇ 普天満宮洞穴(沖縄)
 普天満宮洞穴を拝観する際、まず授与所で代表者の名前と住所を書いて申し込むと巫女さんが洞穴へと案内してくれます。 鍾乳洞は全長約280メートルあるそうですが、現在一般公開されているのは約50メートルだそうです。洞窟内での撮影はご遠慮ください、とのことでしたが、あまり徹底されていないような感じがした。
大まかな印象としては、おきなわワールドに隣接するガンガラーの谷の「Cave Cafe」にある鍾乳石に劣らず壮観でした。洞内の様子は右の写真の通りです。(普天満宮の公式サイトより)

◇ あぶくま洞(福島)
 1969年、石灰岩採掘場で発見されたそうです。駐車場に着くと目の前には採掘の跡も生々しい白い石灰岩山がそびえており、鍾乳石に期待できそうです。 鍾乳洞内の通路は狭いが中へ進むにつれ雄大さに圧倒されます。 局部的に観れば石垣島や沖縄の鍾乳洞に匹敵する、それ以上の場所もあります。 あぶくま洞最大の景観は「滝根御殿」という空間で天井までの高さがおよそ30mあるそうです。 いつまでも眺めていたい場所ですが、時間の都合もあるので先へ進み出口付近に至ると「月の世界」という空間があり、 石垣島鍾乳洞に比べれば規模は小さいが見応えのある空間でした。

◇ 龍泉洞(岩手)
 日本三大鍾乳洞のの一つであり、現在判明しているだけで総延長約3,600mもの長さを誇る「龍泉洞」。そのうち約700mを一般公開しています。 龍泉洞最大の特色はコバルトブルーに輝く地底湖は世界でも有数の透明度を誇っているそうです。 鍾乳石、石筍は豊富にありリムストーンも見られます。 第三地底湖の先、出口近くに体力勝負の階段があり、上っていくと地底湖を展望できる高台(三原山コース)があり、 そこは鍾乳石・石筍など満載、洞穴壁面にはさまざまな形のフローストーンが見られます。 但し、この階段のところに、昇り165段・降り107段との看板があり、体調上ご無理な方はここからお戻りください、とも標されています。

◇ 安家洞(岩手)
 龍泉洞から北へ18Kmほど先にあるので、龍泉洞とセットでぜび行ってみたい。 日本最長の鍾乳洞でその長さはなんと総延長23km以上あるそうですが、入口から約700m地点の千枚皿までは照明と歩道整備がされているため、気軽に観光できます。 短い距離ながら見どころはたっぷりで、日本全国にある鍾乳石・石筍などほとんどの型を見ることができます。 観光コースとしての派手さはなく自然の鍾乳洞らしい雰囲気が味わえます。 洞内には天井の低い場所があるため、入口で上着とヘルメットが貸し出されています。

◇ 備中鐘乳穴(岡山) (かなちあな)
 岡山県の石灰岩地帯の一つ上房台(じょうぼうだい)に点在し、文献に残る日本最古の鍾乳洞として知られているそうです。 全長約800mで現在はそのうち約300mが観光洞として公開されおり比較的小規模ですが、 中には日本一とも言われる22階層の巨大な鍾乳石(五重の塔)や高さ3m・直径5mの大石筍(洞内富士)など、大自然が創り上げた神秘的な眺めを堪能できます。 洞内は狭く、頭上に注意して歩行する所もあります。色彩豊かな照明光は、鍾乳石の自然な質感を損なう感じはありますが、逆に幻想的でもあります。

◇ 満奇洞(岡山)
 岡山県を代表するカルスト台地、新見市草間台にあり、全長約450mで奥に地底湖が広がる鍾乳洞です。 動の井倉洞に対して静の満奇洞と言われるように地底湖の地下水の流れは殆ど無く、 水面に映し出される逆さツララ石は実に幻想的で静寂さを醸し出しています。 ここを訪れた歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻が「奇に満ちた洞」と賞賛したことからその名が付いたと言われています。 鍾乳洞内は色彩豊かにLED照明されており幻想的というか、時にはどぎつく感じるころもありますが、 洞窟博物館と言われるように一歩進むごとに景色の変化は素晴らしく、更に地底湖辺りに立つと、まるでお伽の国の竜宮に来たような感じがして、 自然が創る造形物の美しさに見惚れてしまいます。 最近では美しき鍾乳洞として人気が再燃してきているそうです。

◇ 井倉洞(岡山)
 満奇洞から15Km弱の距離にある井倉洞は、高梁川沿いにそそり立つ直立240m絶壁の壁面に入口があります。 難点は洞内の高低差が90mもあり、行きはひたすら登りで体力を使い、さらに狭い空間での鍾乳石を鑑賞する余裕があるか?。 全長1,200mのコースを廻ると、階段数は上り496段、下り337段になり相当な健脚でないと困難。 そのためか300mの近道コースがあり、それでも階段数は上り215段、下り156段と、これも意外と大変。 苦労する割には鍾乳石を鑑賞する空間は少ない感じで、むしろ探検を楽しむのに向いているかもしれない。
鍾乳石の豊富さ・美しさは備中鐘乳穴や満奇洞で満喫し、ついでに井倉洞に立ち寄るという感じなら、 中に入らなくても高梁川沿いにそそり立つ絶壁を眺めるだけでも価値があるように思いました。

◇ 白雲洞(広島)
 石灰岩で覆われた帝釈峡一帯の地底には広大な鍾乳洞が無数にあるといわれ、白雲洞は帝釈峡を代表する鍾乳洞です。 奥行きが200m程で比較的小規模ですが、鍾乳石や石筍、石柱などが多く観られます。 第二駐車場から帝釈川に沿って遊歩道を300m弱下っていくと白雲洞があります。 入口は狭いが奥行きは約200m、広い所は幅5m、高さ20mあり、洞内の床は全て板張りで安定しており気軽に入れます。 中へ入ると両側から壁面の自然美が迫ってきており圧巻です。

◇ 秋芳洞(山口)
 秋吉台の地下100m、その南麓にある日本屈指の大鍾乳洞「秋芳洞」は観光コースだけで約1kmあり、@秋芳洞正面入口、A黒谷案内所、B秋吉台案内所エレベーターの3ヶ所の入口から入洞できます。 秋芳洞正面入口から入洞すると駐車場から長い距離を歩きますが、中に入って先ずは洞内空間の広さに圧倒されました。 丁度1時間かけて歩き、Aの黒谷案内所側から外に出ると丁度タクシーが停まっていたので、乗せて貰って正面入口の駐車場まで戻りました。

◇ 景清洞(山口)
 景清洞は、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の武将・平景清が潜んでいたと伝えられる洞窟で、洞内には景清にちなんだものがたくさんありました。 総延長約1.5kmで入口から約700mはバリアフリーに対応し車椅子でも利用できる平坦な観光コース、さらに先の闇の中をキャップランプの明かりをたよりに、 自然のままの洞くつを探検できるコースもありますが老夫婦には観光コースだけで充分でした。 それでも洞窟内を往復1.4Km歩くことになります。

◇ 竜ヶ岩洞(静岡)
 東海地方では最大規模の鍾乳洞で、一般公開400mという中規模の鍾乳洞です。 その中でも落差30mの地底の大滝はまさに見応えあります。 しかし、あまりゆっくりしていると濡れてしまうので階段に気をつけながら通り抜ける程度のことですが。 入洞したとき、通路の狭い洞窟のように思えるが奥へ進むにしたがい、鍾乳石や石筍など”おぉ〜これはすごい”と思うほどの見どころが多くあります。 2回目の訪問でした。 この近くに大河ドラマでお馴染みの井伊直虎が眠る龍潭寺(臨済宗妙心寺派)があります。この寺院庭園はお勧めです。

◇ 幽玄洞(岩手)
 化石も一緒に見られる日本最古級の鍾乳洞。地層そのままの姿を見ることができるのもこちらの特徴。 石筍、石柱、つらら石、フローストーンなどの鍾乳石はもちろん、エメラルドグリーンの地底湖もあり変化に富んだ光景を満喫できます。 これより2Kmほど先に、日本百景の一つに数えられる「げいび渓」という観光スポットがあるのでセットで訪れるのがよいです。 (写真は鍾乳石と石筍、つらら石です)

◇ 風連鍾乳洞(大分)
 入洞すると直ぐに金世界・銀世界などの見どころが続きます。そして最深部に至ると竜宮城という空間があり、これが圧巻です。 「競秀峰」と名付けられた高さ10m、周囲16mもある巨大な石筍がそびえ立っています。全長500mと云われる立派な鍾乳洞です。 この鍾乳洞は閉塞型であるため、外気の進入が少なく風化が進まず光沢のある鍾乳石が沢山見られます。 塞がった鍾乳洞の生成物の特徴としてヘリクタイト(重力を無視したかのように曲がりくねって管状の結晶に成長した鍾乳石)の成長が著しく、ここではとにかく大きい生成物が観られます。 ここでは注意深く天井を見上げながら歩くと、鍾乳帯(カーテン状)、シャンデリアなど珍しく不思議な鍾乳石に圧倒されます。

◇ 稲積水中鍾乳洞(大分)
 3億年前に形成された鍾乳洞が、30万年前の阿蘇火山大噴火により水没して現在の形になったといわれ、世界的にも珍しい水中鍾乳洞だそうです。 洞内は水中洞と新生洞の2つに別れ、夫々が約200mの長さでおよそ30〜40分で鑑賞できる。 洞内は天井が低く、まるで坑道を歩いているような感じした。 珍しいのは、水中下部の覗き込むと、石筍・石柱・ヘリクタイト(線状 曲がりくねった鍾乳石)などが観られ、水面も地底湖らしくエメラルドグリーンのような印象。 落ちてくる水滴が意外と多いので雨上がりの入洞は雨傘持参で入るとよい。

◇ 小半鍾乳洞(大分)
小半(おながら)鍾乳洞は、1899年(明治32年)に発見されたもので、清流として知られる番匠川の源流の近くにあります。
全長1,750mで、そのうち330mが観光用に整備されていたが、残念なことに周辺の崖から落石が相次ぎ、来場者の安全が確保できないため再開のめどは立っていない。 鍾乳洞の近隣には小半森林公園があり、直径約18mの大水車は1993年(平成5年)の完成時には日本一の大きさを誇ったもので小半鍾乳洞の目印にもなっている。

◇ 小平鍾乳洞(群馬)
 紅葉の時期に、わたらせ渓谷鐵道の車窓から絶景を楽しみ、その流れで小平鍾乳洞を訪れるのがよい。 わたらせ渓谷鐵道の沿線122号線は中禅寺湖・日光に通ずるので他の観光と併せるコースは沢山ある。
全長93mという短い鍾乳洞だが、つらら石や石筍、フローストーンなどの鍾乳石が観られます。 通り抜けるだけなら5分程度でしょうが、折角入ったならじっくり鑑賞しながら歩くとよいです。 たとえばヘリクタイト(重力を無視したかのように曲がりくねって管状の結晶に成長した鍾乳石)が観られ、不思議な感じになります。

◇ 関が原鍾乳洞(岐阜)
 標高210m岩倉山のふもとにある中規模の鍾乳洞です。洞内には5億年前に出現した「ウミユリ」など古生代の化石があり、通路横に湧き出す清水には何故かニジマスが泳いでいます。 全長518m、所要時間はゆっくり歩いても30分余。照明完備の通路はすべて舗装されていて段差がないので、車椅子でも入れます。 鍾乳洞を目的とするより、谷汲山などの観光とセットで訪れるところでしょう。 或いは少し距離はありますが、郡上八幡にある大滝鍾乳洞・美山鍾乳洞などと併せて鍾乳洞めぐりをするのもよいでしょう。

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