投影画像合成「照明効果」では数学の複雑な関数で得られるいろんな形状の光を画像の上に照射して効果を表現していましたが、 これでは限界があります。「投影画像合成」では自然界で得られるもっと複雑な形状の光を照射して現実味ある表現をしてみようとするものです。 このため、投影画像に平行光を照射して対象画像上に投影合成する方法を採っており、 これによってより現実的な表現が期待でるようになります。 「照明効果」ではおよそ光源からの距離の2乗に比例して光量が減衰していく方法を採っていましたが、 ここでは投影画像から出る光量がその画像の濃度レベルの影響を受けるようにしています。 ![]() ![]() 先ずサンプルを見ながら効果を説明します。 右の画像例をご覧ください。 ここではかなり縮小していますが月と花火の実際の写真に平行光を照射します。 それを湖畔の写真上に投影してみると下の合成画像が得られます。 この結果を見ると、単に黒色をカラーキーとする画像合成と同じ効果のように見えますが、 仕上がりはかなり違ってきます。 この「投影画像合成」の方がより自然な感じに仕上がります。 月には黄色の平行光を、花火には白色の平行光を当て、 それぞれを適当に縮小配置して湖畔画像上に投影したのが下のサンプルです。 尚、花火は自由縮率で縮小しているため歪んで投影されています。 湖畔画像は予め2方向から色の異なるスポット照明光を照射してあるものを使っています。 月は黄色光で照射しているので黄色がかって見えますが、 花火の方は色が薄まって見えます。 ![]() このように投影される背景画像に応じて投影画像色が変わって見えるのは自然な現象だと思います。 一般の画像合成との違い: 貼り付け合成による一般的な画像合成ではこのような効果は得られません。 ここでは花火の僅かに見える薄い線などが忠実に再現されていますが、 一般の画像合成方法でこれを再現させるのは非常に困難といえます。 更に、カラーキーの設定でも一般の画像合成方法ではきめ細かく操作しなければならないのに対して、 この「投影画像合成」の方法では大雑把な操作でも自然な合成ができるようになります。 |
投影画像合成:操作方法画像合成には「投影画像合成」と「カラーキー画像合成」の2通りの方法がありますが、 ここでは「投影画像合成」の基本的な操作方法を説明します。投影合成したい画像(これを対象画像と呼ぶことにします)をアクティブにしておき、 「画像加工」メニューから[投影画像合成]コマンドを選択すると、 図のようにダイアログボックスと、その隣に「照明効果」のときと同様に評価用画像が表示されます。 ![]() 最初に投影したい画像を[画像名]コンボボックスの中から選択します。 その画像は互いに「画像のマスキング」で処理された画像を使った方が自然な感じの合成ができます。 しかし、マスクがけした2枚の画像を使っても投影合成する際に画像間の境界が目立つことがあります。 この場合は合成する画像、合成される画像共に境界部分をぼかしておくと合成したとき画像間の境界が目立たなくなります。 これについては「マスク画像作成」の項を参照してください。 ◆投影画像を開くと評価用画像上に合成されますが、 このとき評価用画像ウィンドウサイズより大きい画像はその縦横比を保持しながら縮小して合成されます。 この投影画像は評価用画像ウィンドウ上で移動、トリミング、固定・自由伸縮することができますが、 この様子は「投影画像を選択」の項で説明します。 ◆投影合成する際、(1)夜の雰囲気で投影合成する場合と(2)昼間画像上で投影合成する場合があります。 上述の例の月や花火のように画像を部分投影する場合に、投影される画像も全体に暗くする必要があります。 したがって、前者で合成したいときは[暗い環境]にチェックをつけ、 後者で合成するときは[暗い環境]のチェックを外してください。 但し、合成する画像サイズがお互いに同じときは[暗い環境]の影響はありません。 ◆画像の絵柄や濃度差によっては、対象画像上に投影した画像がその場では何のことかよく分からないことがあります。 このとき、[参照]にチェックをつけると投影画像だけが表示されます。 ◆投影合成したい画像を選択した後は、 好みに応じて[投影光]、[環境光]、[階調]などのスクロールバーを動かして好みの状態になるよう調整しますが、 たとえば背景が真っ暗な部分の画像を投影し、投影光を強くしても暗いままになっています。 このような場合は[強制投影]にチェックを付けて階調補整すると投影画像が浮き出てきます。 (詳しくは「投影画像を選択」の項を参照) ◆[投影光]は、投影画像に与える平行光の明るさを調整するときに利用します。 [環境光]は、投影される対象画像に与える周囲の光であり、対象画像の明るさを調整するときに利用します。 対象画像が暗すぎる場合は環境光を上げ、これによって投影画像が明るくなり過ぎれば投影光を下げます。 投影画像と対象画像の2つの関係を示す原理的な絵図をご覧ください。 ◆[階調]は、投影画像の階調特性を変えたいときに利用します。 このときその制御点はシャドウ(濃度レベル64)、中間調(128)、ハイライト(192)の何れかであり、 ![]() (1)、(2)、(3)図は制御点をそれぞれシャドウ、中間調、ハイライトにしておいて、 [階調]スクロールバーを左右に動かしたとき図の黒印点を中心に階調特性が上下に変化する様子を示しています。 そして投影画像はこの特性にしたがって階調変換されます。(階調を下げると投影画像が次第に浮き出てきます。) (1)図はシャドウを下げるとそれだけ曲線が急峻になるためコントラストがつき易くなり、 シャドウを上げれば曲線が平らになるため画像の明るい方がメリハリの無い平坦な画像になります。 これらによって投影画像の背景と対象画像の背景の濃度差によって境界が目立つ場合、 その境界を目立たぬようにシャドウ部を落とすなどの調整に利用します。 ![]() ◆[投影画像の平滑化]には数種類のスムージングフィルタがあり、 これは投影画像をぼかすフィルタです。 このフィルタを利用する場合は、階調特性を下げるようにすると効果が出しやすくなります。 利用例として、たとえば壁紙のような模様画像の背後に合成画像を配置し、 その画像をぼかすと半透明な模様の奥に対象画像を見るような表現ができたり、 或いは強制投影と併用して画像に奥行き感を表現したりすることができます。 ◆[投影色]ボタンを押すと「色指定」ダイアログボックスが表示され、 ここで投影画像に当てる平行光の色を任意に選択できます。 これは昼間画像の合成では特に必要ないものですが、 夜間画像で、投影画像がたとえば月やサンセットその他の照明物体である場合に、 その色を変えたいとき役立つことがあります。 |