絵画効果

多数の絵画表現サンプルを見ながら希望するサンプルを選択するだけで画像を絵画的に表現します。  更に、絵画表現の各要素を任意に選択することで数限りない表現が可能になります。
しかし、同じ条件下の絵画表現が、すべての画像に適応できるものではありません。  画像の背景に応じて各要素の選択を適宜変えてみる必要がでてきます。  たとえば、ある画像で気に入った絵画表現ができた場合に、 同じ条件下で別の画像で表現してみたとき必ずしも満足できる効果が得られるとは限りません。  この場合は各要素の組み合わせを変える、色調変換を止める、明るさを変える、 或いは[補整]の値を変えるなど、その場に応じた調整が必要になります。

絵画表現の基本形には、「一般的な汎用画」、「油彩画」、「貼り絵」タイプの3種類があり、 これと後述の各要素の組み合わせで写真を油絵・水彩・貼り絵・版画など多彩な絵画調で表現することができます。
また、画像には多数の模様を投影することができ、絵画的な表現だけでなく、 たとえばキャンバスに描いた絵画の雰囲気を出したり、 半透明ガラスのような模様の奥に画像を見るような雰囲気に仕上げることもできます。

ダイアログボックス 絵画的に表現したい画像をアクティブにしておき、 「画像加工」メニューから[絵画効果]コマンドを選択すると図のようにダイアログボックスとその隣に評価用画像が表示されます。

[筆係数]は油彩画、貼り絵タイプのとき利用でき、この数値を変えることによって筆扱いの粗さを表現します。


次に絵画表現を得る各要素について説明します。

◆フィルタ操作の[筆質]は軟質、硬質の感触を表現します。
[加重]フィルタには、平滑化、鮮明化、輪郭強調、その他があり、 絵画表現した画像にこのフィルタを加重することによって絵画表現を更に助長します。
[加重強]はこれをオン・オフすることによって加重フィルタ効果の度合いを制御します。
[他の例題]は「絵画表現サンプル集」に含まれないその他の例題として、各絵画タイプ毎にいくつかのサンプルが用意されており、 絵画タイプの選択によって例題の内容も変わってきます。  この中から適当な例題を選択すると「絵画表現サンプル集」とは趣の異なる絵画表現ができます。
[表現]には、記号S、M、Rの3種類の表現方法があります。  これらは絵画表現の処理過程でフィルタのかけ方(色の塗り順)を変えることによって効果を出すための要素であり、 S、M、R、何れかの選択によって趣の異なる表現ができます。
・フィルタ操作の最後に、[平滑]、[強調]、[特殊]の3種類の要素があります。  これらは絵画表現の基本フィルタになっており、それぞれの組み合わせが選択できます。
[投影(原画像積算)]にチェックを付けると絵画表現した画像に原画像を積算するため、 抽象的で分かりにくい絵画表現になった画像をより原画像に近い表現に変えることができます。
[スケッチ風]にチェックを付けると絵画表現する画像の輪郭に沿って線分が多く含まれ、 スケッチした雰囲気に仕上げます。 ここで[細線]にチェックを付けると、 更に細かい線分で表現できるようになります。  また、[線質]を選ぶことによって線の太さを変えることができます。
[墨絵風]にチェックを付けると、絵画効果は黒白の墨絵画風の表現になります。  但し、画像背景によっては効果を出しにくい場合が多くあるので、墨絵画で表現し易い画像を選んだ上で利用してください。
[エンボス]にチェックを付けると、画像は概ね版画調に仕上がります。
・同じ絵画表現でも画像によっては効果を出しにくい場合があります。
この場合に[補整]の値を変えてみてください。  表現がいくらか改善されます。

以上が絵画効果を得るための各要素です。  これ要素を任意に組み合わせ選択することによって理屈上は1000種以上の絵画表現が可能ですが、 画像背景によっては絵画表現の効果の出し易い場合とそうでない場合があります。
逆に同じ画像でも表現方法の違いによって、まるで雰囲気の異なる効果を得ることもあります。

色調操作において、色調変換は画像の局部的な色の調子を変更しながら、 同時にその代表色を適応的に強調するよう作用します。  これによって画像が鮮やかになり、より絵画的な効果を出します。  [変換]にチェックを付けると鮮やかな表現になり、 チェックを外すと自然色の表現になります。
色調変換するときは、番号[1〜5]の選択によって色調が変化します。

◆画像によっては絵画表現が明るすぎたり、暗くなりすぎたりすることがあります。  このときは[明かるさ]で画像の明るさを調整してください。
このときその制御点はシャドウ(濃度レベル64)、中間調(128)、ハイライト(192)の何れかであり、 詳しくは「絵画効果 1」の模様投影を参照してください。

[リセット]ボタンを押すと、原画像の状態に戻ります。  絵画表現をすることなく画像上に模様投影の効果だけを出したいとき利用してしてください。
画像によっては、たとえば「加重」の平滑フィルタとの組み合わせで半透明ガラスのような模様の奥に画像を見るような雰囲気に仕上げることができます。

[注意]:絵画表現して出力した画像は等倍率で見てください。   これは絵画表現した画像を縮小したり拡大した状態で見ると画素間のフィルタ効果が損なわれるため絵画効果を正しく見ることはできなくなるからです。  特に模様効果を付けた絵画表現画像を縮小表示で見るとモアレが出る場合があります。

◆大きいサイズの画像で絵画表現すると、小さな評価用画像上で見た絵画表現と違ってくることがあります。 このときは、 [画像出力時のスケーリングフィルタ]にチェックを付けて「了解」ボタンを押すと 評価用画像と類似性が保てる場合があります。

模様投影効果について
[模様投影効果]ボタンを押すと、 画像にさまざまな模様を投影して、たとえばキャンバスの雰囲気を出すなど一層の絵画効果が表現できるようになります。
操作方法は「模様投影の効果」を参照してください。



















絵画表現サンプル集

絵画表現サンプル ◆前述のように理屈の上では1000種以上の絵画表現が可能ですが、 その内[絵画表現サンプル集]のウィンドウ上には、 50種類以上の絵画表現基本形状の見本が表示されています。  サンプルの多くは色調変換した絵画表現になっていますが、 色調変換のチェックを外すと自然色での表現ができるようになります。

◆各サンプル上にカーソルを移動すると吹き出し注釈が表示されます。  適当なサンプルをクリックすると評価用画像が該当する絵画効果で表現されます。
その結果、画像が鮮やか過ぎたり画像全体が潰れてしまったりするときは 色調変換のチェックを外してみてください。
また、吹き出し注釈にしたがって各要素を変更すると雰囲気の異なる絵画表現を得ることができます。

◆また、これらのサンプルを選択して絵画効果を表現してみた後に、 上記各要素を必要に応じて変更すると趣の異なった絵画表現になります。
画像背景によっては絵画表現しにくい場合もありますが、 このときも上記各要素の選択を変えてみてください。
特に[補整]の値を 1、または 2に変えると、 表現が改善される場合があります。

◆サンプルの中には画像に模様を付けて表現するものがあります。  これに該当する場合は、後で述べる「模様投影効果」のダイアログボックスが表示され、 ここで模様その他を変更することができます。

◆ここで示すサンプルの他に、上で述べたように「絵画効果」ダイアログボックス内の [例題]からも絵画タイプ別に幾つかのサンプルが選択できます。



















模様投影の効果

模様ダイアログボックス
[模様]スクロールバーを左右に移動させると、画像上に模様が投影されます。
模様によって画像全体が暗くなる、或いは画像の明るさによっては投影模様が目立たない場合があります。  このとき、[明るさ]、[強度]、 [階調]スクロールバーを動かして好みの状態になるよう調整します。

[明るさ]は、模様の明るさを調整することによって画像全体の明るさを変えることができます。

[強度]は、画像に投影する凹凸模様の強度を調整して奥行き感に変化を与えることができます。  画像によっては、凹凸模様を強調するにしたがって全体が暗くなる場合がありますが、 このときは「明るさ」によって調整してください。

[模様]には多彩な形状があり、 模様のタイプを選択してから[模様]スクロールバーを左右に動かしながら画像に合わせて好みの模様を選択してください。  ここで画像に模様を付けたくない場合は、[リセット]ボタンを押してください。

[階調]は、模様の階調特性を変えたいときに利用します。  このときその制御点はシャドウ(濃度レベル64)、中間調(128)、ハイライト(192)の何れかであり、 LUT1 階調特性はこの点を中心に滑らかに変化するようになります。
(1)、(2)、(3)図は制御点をそれぞれシャドウ、中間調、ハイライトにしておいて、 [階調]スクロールバーを左右に動かしたとき図の▲印点を中心に階調特性が上下に変化する様子を示しています。
そして投影画像はこの特性にしたがって階調変換されます。(階調を下げると投影模様が次第に浮き出てきます。)
(1)図左は投影画像の背景と対象画像の背景の濃度差によって境界が目立つ場合に、 その境界を目立たぬようにシャドウ部を落とすなどの調整によく利用します。
LUT2



















テクスチャ効果

テクスチャ効果
[模様]には多彩な形状があり、 そのタイプを選択して[模様]スクロールバーを左右に移動させるだけで画像にさまざまな凹凸模様を付けた効果を表現します。
その模様によって画像全体が暗くなる、或いは画像の明るさによっては模様の凹凸が目立たない場合があります。  このとき、[明るさ]、[強度]、 [階調]スクロールバーを動かして好みの状態になるよう調整します。

[明るさ]は、模様の明るさを調整することによって画像全体の明るさを変えることができます。

[強度]は、画像に投影する凹凸模様の強度を調整して奥行き感に変化を与えることができます。  画像によっては、凹凸模様を強調するにしたがって全体が暗くなる場合がありますが、 このときは「明るさ」によって調整してください。

[階調]は、模様の階調特性を変えたいときに利用します。  このときその制御点はシャドウ(濃度レベル64)、中間調(128)、ハイライト(192)の何れかであり、 詳しくは「絵画効果」の模様投影を参照してください。

[ぼかし]は、模様を投影する画像を適当にぼかしてみると、 たとえば投影模様によっては半透明ガラスを通して遠方の風景を見るような効果を表現することができます。  画像のぼかし具合や模様の形状とその[強度]を調整して効果の様子を試してください。

[注意]:テクスチャ効果を付けた画像は等倍率で見るようにしてください。   縮小表示で見るとモアレが出る場合があります。