画像のマスク抽出方法画像合成するときそれぞれの画像で合成したい部分のみ切り出して重ね合わせれば合成できますが、 この画像の必要な部分を切り出す作業がなかなか手間のかかるものです。ここで説明する「画像のマスク抽出」および「マスク画像作成」はこれらの手間を省いて簡単にマスキングできる機能です。 ここには「ある画像からマスクを抽出する」および「他の画像にそのマスクをかける」の2つの機能があり、 「投影画像合成」やもう一つの「カラーキー画像合成」で説明するように複数枚の画像を合成するとき利用すると便利です。 「投影画像合成」ではマスクをかけた部分の色に対して投影光量を制御することができ、 「カラーキー画像合成」ではマスクをかけた部分をカラーキーとして透明度を制御することができます。 ◆[画像マスキング]コマンドを選択すると操作用のダイアログボックスとその右隣に作業用画像が表示され、 ここでマスク抽出とマスク画像作成を行ないます。 操作はすべてこの作業用画像上で行ないます。 尚、このマスキング作業用画像は最大640X480画素で表示します。 ◆マスク抽出の操作方法を説明する前に、概要を知るため実際の作業例を説明します。 画像のマスクを作成することがなぜ必要かは「投影画像合成」をご覧ください。 マスク抽出には[画像全域]と[閉領域]の2通りありますが、 ここでは[画像全域]に同一色を流し込んでマスクを作る方法で説明します。 ◆カーソルを作業用画像上に移動させると「流し込み」マークに変わり、 ここでマウス左クリックするとその位置の色を拾って、画像上の同一色をすべて黒または白色で塗りつぶします。 以下は簡単のため画像(1)の空とそれ以外を分離する例で説明しています。 ![]() ◆次に操作用ダイアログボックスの[マスク形状・修正]にチェックを付けると、 画像はマスク形状(5)になります。 こうして見ると空を塗つぶすとき指定した同一色が空領域以外にもあるためその部分も黒で塗つぶされていることが分かります。 この部分はマスクをかけたくない部分ですから消しておく必要があります。 (「投影画像合成」の場合は多少のゴミが残っても差し支えないかも知れません。) ◆ここでは(5)のゴミ部分はすべて消すことにします。 [ペン]を選択するとカーソルは「ペン」マークに変わり、 マウス左ボタンを押しながらマスク不要なゴミ部分をなぞっていくと白に変わります。 逆にマウス右ボタンを押しながらなぞるとその部分は黒色に変わります。 ◆このような操作の中で境界線近くは細いペンで、 それ以外は太いペンで修正できるように[ペンサイズ]を選択することができます。 ◆ここでは[ペン]マークのカーソルでマスク領域を修正しましたが、 広い範囲に渡ってペンでマスク修正するのは面倒なことがあります。 この場合、[矩形]にチェックを付けると矩形領域を描画するカーソルに変わり、 ここで任意の領域を矩形で囲むとその部分がマスク修正できます。 また、[直線]にチェックを付けると直線を描画でき、 これは特に水平・垂直・斜めの境界線に沿って修正するとき便利です。 ◆以上の操作によって(5)を修正すると(6)になります。 これまではマスク色を[黒]としてきましたが、ここでマスク色を[白]に変えるとマスク形状は(7)に反転します。 ◆マスクの修正が終わったら、[マスク形状・修正]のチェックを外すとマスク修正後の(4)に変わります。 マスク修正後の(4)を表示した状態で、もう一度マスク色を[白]に変えるとマスク部分だけが反転した(8)になります。 ◆次に、[マスク反転]にチェックを付けると、 マスク色が[黒]のとき(9)に、[白]のとき(10)に変わります。 ◆最終的には、画像合成するとき空に該当する領域を消したい場合は(4)または(8)を、 それ以外を消したい場合は(9)または(10)を出力することになりますが、 [作成]ボタンを押すと該当画像を新しく作成します。 また、[マスク形状・修正]にチェックを付けた状態で[作成]ボタンを押すとマスク形状だけを出力します。 尚、上記(4)、(8)、(9)、(10)のマスクがけした画像の正式な作成については、 「マスク画像作成方法」の項で説明します。 ◆[マスク修正]で細部に渡って綺麗に修正できない場合は、 一度[作成]ボタンを押してマスク形状を作成してから[終了]ボタンを押してマスク抽出作業を終わらせます。 次に「道具箱」のルーペ機能でその画像を拡大表示させておいてから、 ペンその他の道具を使って修正すると非常に楽な作業ができます。 ◆画像合成するときはここでマスクした部分に他の画像を合成したい訳ですから、 もう一つの画像も同様なマスクをかける必要がでてきますが、 これは「マスク画像作成方法」の項を参照してください。 ◆[リセット]ボタンを押すとこれまでのマスク操作はすべてリセットされ、 (1)画像の状態に戻ります。 ◆基本的には(4)または(8)と、(9)または(10)を「カラーキー画像合成」で合成すれば(1)の原画像に戻りますが、 2つの画像間でマスクがけに差があると誤差が生じます。 しかし、このマスクがけした画像を「投影画像合成」で使う場合は、 投影光量調整や拡散で、多少のマスク誤差があっても大きな問題にはなりません。 ◆以上のように、ある画像で抽出したマスク形状(6)や(7)を他の画像にマスクをかける方法は「マスク画像作成方法」で説明します。 マスク抽出操作![]() ◆カーソルを作業用画像上に移動させると「流し込み」マークに変わり、 ここでマウス左クリックするとその位置の色を拾って、 画像上の同一色に[マスク色]で指定した黒または白色を流し込んみ、 マスクがけしたい領域を塗りつぶします。 そのマスク抽出には[画像全域]と[閉領域]の2通りあります。 [画像全域]を選択したときは、画像の全体に渡って同一色をマスク色に置き換え、 [閉領域]を選択したときは、その同一色の存在する閉領域に対してのみマスク色に置き換えます。 これら2つはマスク抽出の過程で逐次切り替えて使ってください。 ◆[画像全域]を選択したとき、一度に塗つぶされるマスク領域は、 実際には指定位置で拾った色に[範囲]で指定した範囲の色がマスク色に置き換わります。 たとえば、[範囲]が16のとき、拾った色がRGB(172, 208, 230)であれば、 画像の(156〜188, 192〜224, 214〜246)範囲が画像全域に渡ってマスク色で塗つぶされます。 ◆右図の操作用ダイアログボックスでマスク[抽出レベル]の [1]〜[4]の何れかを選択すると、画像は擬似色で表示されマスク抽出のやり易さや精度を変えることができます。 たとえば、[3]を選択すると画像の輪郭がはっきりしてマスク抽出がやり易くなりますが、 反面その精度が落ちる可能性があります。 [4]を選択すると黒白3レベルでマスク抽出ができます。 このように画像に応じてマスク抽出し易いレベルを適宜選んでください。 ◆次にこのマスク形状の概観を基準に希望するマスク領域と非マスク領域を黒白で分ける作業をします。 このため先ず[マスク形状・修正]にチェックを付けると黒白画像に変わり、 ここで各領域を黒または白色で部分修正を加えます。 ◆ペンその他の道具で修正する際、[マスク色]が黒のときにマウス左ボタンを押しながら操作すると白色を描画し、 右ボタンを押しながら操作すると黒色を描画します。 たとえば[ペン]を使って修正するときは左ボタンを押しながらなぞるとその部分を白色で描画し、 右ボタンを押しながらなぞると黒色を描画します。 [マスク色]が白のときには上記と逆の色を描画します。 このようにマスク領域を必要に応じて修正します。 ◆細かい部分を修正するときは[ペン]を使って修正しますが、 修正部分の細かさに応じて[ペンサイズ]を変更してください。 ◆[直線]をオンにして直線を引くと指定ペンサイズで白または黒を描画します。 これはペンで修正しづらいとき、たとえば水平・垂直・斜めの輪郭など直線に沿ってマスク修正したいときに使うと便利です。 ◆広範囲に渡って修正するときは[矩形]を選択して修正したい部分を矩形領域で囲むとその部分を黒または白色で描画します。 ◆[流し]をオンにしてマスク色の閉領域内をマウス左または右クリックするとその閉領域内に該当色を流し込んで塗つぶします。 たとえば、マスク色が[黒]のときに黒の閉領域でマウス左クリックすると白を流し込み、 白の閉領域で右クリックすると黒を流し込みます。 マスク色が[白]のときはその逆になります。 ◆修正をやり直しすときは[Undo]ボタンを押すと、 修正の直後に一度だけやり直しができます。 ◆[マスク形状・修正]のチェックを外すと、 どのようにマスクがけされたかその様子が原画像で確認できます。 ◆マスクしたい部分の境界がはっきりしない画像の場合には、 [抽出レベル]を変えたり、[画像全域]、[閉領域]を切り替えたりしてマスク抽出のやり易い方法を試してみてください。 [画像全域]を使ってマスク色を原画像上に流し込むと比較的うまくマスクしたい境界が得られることがあります。 しかしこの方法は前記の実例(5)のように不要なところまでマスク色に置き換わってしまうので、 不要な部分は[マスク形状・修正]をオンにして上記と同様にマスクに必要な部分を修正してください。 ◆作成したマスク形状は、何らかの理由で最初から作り直すことを避けるため或いはあとで再利用するため、 一度[作成]ボタンを押してマスク形状を作成しておいた方が無難です。 ◆また、マスク形状が細部に渡って綺麗に修正できない場合は、 一度[作成]ボタンを押してマスク形状を作成してから[終了]ボタンを押して一旦マスク抽出作業を終わらせ、 次に「道具箱」のルーペ機能でマスク形状画像を拡大表示させておいてから、 道具箱のペンその他を使って修正すると楽な作業ができます。 そしてここで修正した、たとえば前記事例の(6)や(7)のようなマスク形状をアクティブ画像として、 もう一度[画像加工]メニューの「画像マスキング」コマンドを選択すると、 次の工程である「マスク画像作成」に繋げることができます。 但し、この操作では元の画像サイズが大きい場合にマスキング作業用画像を縮小するため多少の誤差がでることがあります。 ◆作業用画像上でカーソルを移動させたとき表示される数値は、 そのカーソル位置の濃度値をR,G,Bの順で示しています。 ◆最終仕上げしたマスク形状は、 あとで再利用するため[作成]ボタンを押してマスク形状画像を作成しておくことをお薦めします。 ◆以上の操作で1つの画像から抽出したマスク形状を完成したら、次はそのマスクを基に、合成したい画像にマスクがけします。 その作業に入るには[マスク画像]をオンにします。 マスク抽出とマスク画像作成は、[マスク抽出]、[マスク画像]の切り替えによって行ないます。 マスク画像作成の方法は次のページへ進んでください。 マスク画像作成方法:次のページへ |