投影合成の実際例

(2)昼間画像上で投影合成する場合

サンプルを見ながら投影合成する手順の一例を説明します。
前ページでは昼下がりの湖畔画像にサンセット画像を合成したサンプルを示しており、 湖畔画像にサンセット画像を投影したくない部分のマスクは黒く塗りつぶしていました。  今度は昼間の画像に投影合成する手順を以下の例で説明します。  この場合は投影したいマスク部分を白で塗つぶします。

下の画像(1)は昔の面影をそのまま残す田舎の無人駅のスナップ写真です。  この原画像(1)の背景である空部分には山を、プラットフォームの影部分には花壇を投影合成して(8)の画像に仕上げるものとします。
但し、(8)は原画像より少し明るくなるように仕上げています。

◆ここでは山岳や花壇画像に平行光を照射して対象画像(1)上に投影合成することになるため、 山岳や花壇画像のうち不要な部分は対象画像に投影したくない訳ですからその部分は一様な光が対象画像に投影されるようにする必要があります。
このために前ページと同様にその部分を黒で塗りつぶしてもよいのですが、 そうするとその部分は光が投影されなくなるので駅舎画像が暗くなってしまい、 制御パネルから別の環境光を与えて明るくしなければなりません。
したがって、ここでは一様な光を投影したい部分は白く塗りつぶして100%の光を投影するようにしています。

投影合成の方法例1 ◆山岳画像のうち不要な部分からは一様な光が投影されるようにするため、 「画像のマスク抽出」の項で抽出したマスク画像(2)、 および山岳画像にそのマスクがけした(3)を得ます。
ここでは(2)の輪郭部分を少しマスク修正して(3)のように投影したい画像にそのマスクをかけています。
詳しい操作方法は「画像のマスク抽出」および「マスク画像作成」の項を参照してください。

◆更に、プラットフォームの影部分には花壇を配置したいので適当な花模様をついでに貼り付けて(5)を得ます。
輪郭に沿って塗りつぶす部分はそれほど正確である必要はありません。  たとえば駅舎そばの電柱の蛍光灯らしき部分は無視しても殆ど影響ありません。
その理由は、おそらく蛍光灯部分は山岳画像の空色から投影される光量で十分間に合うと思われるからです。

◆ここでは昼間画像の例ですから、光を投影したい部分は白色にして、 対象画像のその部分に光を100%投影するようにしていますが、 対象画像に投影したい光量に応じてグレー色でもかまいません。
投影する画像の明るさと対象画像の明るさのバランスを見ておよそのグレー色で塗りつぶすようにします。  最終的には制御パネルの[投影光]および[環境光]で光量を調整しますが、 白で塗りつぶした場合は投影光量を100%、環境光量を0%近くに置き、 あとは全体を微調整します。

◆(5)の中で(6)の部分には投影光量を下げるため少し灰色にしてあります。
また、(7)の電柱らしき部分も忠実に再現したいのですが、 この部分に投影される山岳画像からの光量はあまりなさそうなため、 灰色で一本の線を描いて投影光量を増すようにしています。  (背景の暗さに合わせて目立たせる必要がなければこの線を描く必要はありません。  その方が自然かも知れません。)

◆この線を描く部分は対象画像の対応部分と一致していなければなりませんが、 「このソフトを利用する場合は、 画像上でカーソルを動かすだけで座標位置がステータスバー上に常時表示されているので 正確な位置を容易に見つけることができ、 道具箱を使って同位置に必要な長さの線を引けばよいことになりこの程度では作業の手間にはなりません。
このような細かい細工をすることもあるため、 対象画像と投影画像は同じサイズにしておいた方が作業はやり易くなります。

◆花壇を合成する位置も同様の操作になりますが、 駅舎の暗いところに(5)で見られる花壇模様の光を照射しても明るくならないため、 花壇模様を投影したい対象画像の影部分を(4)のように白く塗りつぶしておきます。  その(4)を見ると白く塗りつぶした上部に灰色で適当な凹凸を付けていますが、 これは平坦にするより投影光量に濃淡を付けた方が合成したとき自然な感じに仕上がるためです。

投影合成の方法例2 ◆これだけの準備をして最後は、 右図のように投影画像(5)に平行光を照射して対象画像(4)の上に投影しながら投影光や環境光を調整すれば投影合成画像(8)が完成します。
ここで対象画像に比べて合成画像を明るくしているのは、 投影する2画像との明るさバランスに違和感のないようにするためです。  花壇部分の明るさを少し落としたい場合は、(4)の部分を少し灰色で塗りつぶしておけばよいことになります。

完成した投影合成画像(8)では目立ちませんが、 画像サイズが大きくなると投影合成したときの2画像間で濃度差によっては境界が目立つ場合があります。  これを避けるため、画像をマスキングする際に「マスクフィルタ]を使うとその境界を目立たぬようにすることができます。

◆また、画像合成する際に対象画像と投影する山岳画像のサイズは同一サイズにしておいた方が位置関係がはっきりして作業はかなり楽になります。

◆もう一つ下の例で、画像(1)の上に(2)を投影合成して夕暮れ時の雰囲気を表現してみます。  何の細工もせずに投影すると(3)になり、暗い画像を投影するため光量が不足して(2)の下部が表現できないと共に(1)の赤い花がそのまま出ています。  そこで[強制投影]コマンドを使って光量を増すと(4)になります。
投影合成の方法例3
これでもまだ(1)の花模様がわずかに見えています。  そこで今度は(1)の花模様の部分だけ大雑把に黒で塗りつぶした(5)の上に(2)を投影してみると(6)が得られます。
湖畔にあるカジノ街の夕方のように見えませんか。  尚、合成画像の「投影光」、「環境光」はすべて同じ条件を与えています。